たまねぎの皮

中年独身者によるセルフカウンセリング用ブログ

260328 映画「犬神家の一族(1976)」について

犬神家の一族 BD

 

 

気に入った映像作品は繰り返し見まくるタイプのオタク。

今回は大好きな「犬神家の一族(1976年版)」について

ちょっと語りたくなったのでまとめてみる。

 

※同作は何度も映像化されてますが

 他作品との比較なんかはなく単体での感想になります

※いわゆる殺人事件の推理ものですが、真犯人の情報や

 トリックなどすべてオープンのネタバレ状態となりますので

 未見の方はご注意ください

※MSのAI copilotと会話しながら整理まとめました

 

 

 

 

好きな要素など

 

・命名によるキャラクター付け。

 佐兵衛の別々の妾に産ませた

 3人の異母姉妹の名前が「松子・竹子・梅子」…

 どうですこの「適当に付けました」感(笑)。

 祝いの言葉ではあるものの全く愛を感じさせない

 佐兵衛の「どうでもいい」という空っぽ、投げやり感が凄いですよね。

 そしてその3姉妹がそれぞれに産んだ息子の名前。

 「佐清・佐武・佐智(すけきよ・すけたけ・すけとも)」。

 それぞれに佐兵衛から1文字とって名付けていて

 「この息子こそが犬神家の後継者!」という

 姉妹の言外のデッドヒートが見えてきそう。

 実は映像見た後に「そういう命名に関する背景の描写は

 原作にあったのかな?」と思って読んでみましたが

 記憶の限りにはなかったようで。

 並べてみると浮かび上がってくる、

 「どういう位置付けで生まれてきたか?」みたいなのが

 うっすら透けて見えるキャラ造形、いいですよね。

 

・小説から映像にしたことで生まれる、緊張緩和のリズム。

 推理小説って、読んでると実はずっと気が抜けないんですよね。

 「誰が犯人なんだ、見つけてやる!」みたいな

 作者との真剣勝負になっちゃう。

 でも、映像化することによって

 「このキャラは疑わなくていいだろう」という

 いい意味で見流せるシーンも出てくる。

 那須ホテルの女中 おはるさんとの会話とか、

 金田一が車の天井に頭をぶつけるシーンとかね。

 柏屋のおじさんは「三木のり平」といってコメディアンの人だそう。

 キャスティングからして「この人は犯人候補から外していいだろう」

 と当時からお気楽に楽しめてたと思う。

 気を抜くシーンと真剣なシーンと切り替えで出るテンポがよくて

 これは映像化の魅力だと思ったなぁ。

 

・ヒロイン「珠世」の魅力。

 冒頭の佐兵衛臨終のシーンでも、他親族が遺言を気にする中

 ただ一人じっと佐兵衛を見つめてその最後を看取るヒロイン珠世。

 いや最高ですね。芯のある女性。

 もう一回見る機会があったら、「悲鳴」をカウントして見てみてほしいんですよ。

 回数を数えるんじゃなくて、悲鳴を上げる人をカウントしていくの。

 珠世は、湖で溺れそうになるときに助けは呼ぶけど悲鳴はあげないんだよね。

 その後も

   ・若林の死体を見つけて叫ぶ女中おはる

   ・遺言公開で「私が無視されてる!」と取り乱す小夜子

   ・佐武の生首を見つけて絶叫するのは金田一(!)

 と、ヒステリックに怖さをあおるのは他の人物で

 珠世は騒がず凛としてるんだよねぇ~。

 「この人は佐清さんではありません」と看破する強さ、胆力もある。

 惚れちゃうね!

 おまけで、この珠世と佐清は実は両想いではあるものの

 出征前はたぶんキスすらもしてない淡い関係だった(と予測される)

 というのも奥ゆかしくていい感じだった。

 実はマスクの佐清(静馬)って、顔面損壊で

 誰だかわからない状態だけど耳は無事なんだよね。

 キスだとか肉体関係があったら

 静馬の入れ替わり時にもっと確信をもって告発できただろうと思うしね。

 

 それから、珠世のおまけじゃないけど猿蔵の映像化での

 「無口キャラ」への変更もよかった~。

 原作小説だと割としゃべるんだよね。

 でもめったにしゃべらないからこそ

 「珠世の忠犬」というキャラが増した気がするし

 「今度やったら殺す」「あの人(金田一)のこと 忘れられない」

 という2セリフがまさに観客の代弁!と印象づいた気がする。

 

・チラ見せのリズムが良い!

 たとえば佐武の生首シーン。

 菊人形と生首を短いカットでパッパッと切り替えて、長く見せない。

 映画作品なので結局はどっちも作り物なわけだけど、

 造形の甘い菊人形の首と本物の生首(とされるちょっと本物っぽい造形物)を

 短いカットでチラ見せしていくことで、

 その対比で死体のリアリティが増してる感じ。

 生首も画面をストップしてジーっとみると

 「うわいかにもな特撮(笑)」というクオリティなんだけど

 長く見せず菊人形と挟んでのチラ見せすることで

 「おっ、なんか変なの映ったぞ!」と

 ついつい前のめりになっちゃうんだよね。

 昨今のCG技術とか特撮の精巧さって、確かにすごいんだけど

 「じっくり見てね~すごいでしょ~」って画面に映されると

 「見せつけられた」って感じになっちゃう。

 (クリエイター側は長く映した方が満足なんだろうけど)

 本作みたいなチラ見せだと、前のめりになって

 「目撃しちゃった!」という気持ちになるんだよね。

 ほかにも、最初に殺される若林の遺体も

 いかにもな血のりと苦し気に地面をかきむしる手のポーズで

 「うーんわざとらしい(笑)」と思っちゃうんだけど

 これもチラッと見せて次の展開に行く。

 AIとの会話ではこれを「監督の天才的な編集センス」と返ってきたけど

 単純に「造形の未熟なツクリモノ感を

 あんまり画面に出しっぱなしにしたくない」という

 羞恥心からくる偶然の功名みたいなもの?

 とも思ったけど、これはちょっと失礼かな(笑)。

 

・真犯人/松子の魅力。

 AIとの会話でも「犬神家の三姉妹は…」

 という括りで回答が返ってきたりもしたけど、

 松子・竹子・梅子を一括りにするのはちょっと違和感があるんだよね。

 というのもこの松子さん突出してるでしょ!?

  ・公開前に遺言状の中身を探る前のめりの姿勢

  ・喫煙すると死ぬ煙草の調合技術

  ・隙あらば邪魔者を消すという殺人力

 状況に対応することが精いっぱいの竹子梅子とは格が違う。

 女性に生まれてしまった悲劇といえるかも。男性で生まれてきて

 この胆力あれば普通に佐兵衛も素直に家督を譲ったかもしれないよね。

 それから、大好きなセリフ 息子である佐清と再会しての

 「許してちょうだい…!」

 言ってみれば、松子は静馬のしかけたオレオレ詐欺にはまったうえ

 佐兵衛の言外の意図からデスゲームを実行しちゃったわけだけど、

 ここで謝罪の言葉が出てくるとは…

 自分の母だったら「なんでさっさと帰ってこなかったのこの馬鹿!」と

 けちょんけちょんに罵りそうなので、

 このセリフは下腹にズンと来たね…

 ラストの松子自殺のシーンも演技にシビれる。

 こっそりと吸い込んだ毒タバコで薄れる呼吸の中、

 周りの問いかけ全部に答えることはせず、必要なことだけ。

 珠世へのお願いと佐清への遺言のみを残しバッタリと意識を手放す。

 (もう一回見ることがあれば、松子の呼吸にフォーカスしながら見てみて。

  最高の女優さん!)

 ついつい「息子との最後の別れ」で

 お涙頂戴の展開をやりたくなりそうなものだが、

 この武士のような潔さも非常に魅力的。あっぱれな散り際。

 旦那さんの影響なのかなぁ?

 他姉妹の旦那と違って画面に登場しないのも意味深でいいよね。

 

・推理ものでありながら全体に漂うオカルトめいた不気味さ。

 推理作品といえば、緻密に計算された犯罪とそれを暴く探偵の

 理屈ずくですべて展開していく作品もあるが、

 犬神家はどうにもドロドロした空気があるよね。

 佐智と小夜子がいとこ同士で子供作ってるのも、

 血の濃さを予感させる不気味さがあるのに、

 それが純粋な愛情じゃなくて

 お互い「遺産を多く手に入れたい」という

 打算づくの結果ってのも、遺産独占ゲームの駒感がすごい。

 そもそもその遺産独占のデスゲームの発起人の

 佐兵衛の怨念執念がそういう雰囲気を作ってる。

 その佐兵衛が「出身地不明」ってのもめっちゃ秀逸。

 「麻薬精製という技術を持った正体不明の悪魔が、

  湖畔ののどかな田舎に莫大な富と呪いを振りまいた」

 って感じのストーリーのとらえ方もできる。

 逆に言えば

 「佐兵衛という怪物を、土地に根付く

  神社の家系の娘(珠世)が退治した」

 という神話じみた読み解きをするとさらにオカルト感が増すかもね。

 (そう考えると、佐兵衛臨終を見つめる

  珠世の視線もまた別の意味を持ってくるか)

 とここまで書いたら、「ちょっと待てよ!」と気づきが湧いてきた。

 野々宮晴世~犬神佐兵衛との子である祝子(のりこ)、

 その娘の珠世が「神社の血を継ぐ正当後継者」、ということであれば

 神社の神官だった野々宮大弐って

 言ってみれば婿養子みたいな立場だったのかも。

 その方が神聖性が増して物語をもっと楽しめそうだ。

 (原作小説ではどうだったかな?)

 

・静馬の立場になって鑑賞するのも楽しい。

 犬神家をのっとろうとオレオレ詐欺を仕掛ける静馬なわけだけど、

 このキャラの立場になってストーリーを追ってみるのも一興。

 戦争の顔面ダメージを逆手に「佐清になりかわってやる!」と

 潜入できたはいいものの、いざ遺言状が公開されてみると

 意外にも静馬がトリックスター的なポジションを用意されてた。

 「もしかしたら、すり替わらずに外部から

  相続人を順々に殺していけばすべてが手に入ったのでは…」

 と驚愕。むしろ入れ替わったせいで自由に動くことができず

 さらに「佐清の偽物だ!」と看破されればむしろ大ピンチ…!!

 弱っていたところに なんと佐清とコッソリ再会。

 もージェットコースターみたいなスリル・サスペンスの中で

 「佐清の母親が実は殺人犯」という弱みを目撃。

 仮面を利用して入れ替わり本物の佐清に手形を捺させて

 疑惑の回避!

 二転三転の大立ち回りがうまくいって全能感すごかったかもね~。

 ついつい松子への暴露・勝利宣言も納得ですわ。

 松子の人物像・実行力を知ってるのに、迂闊だとは思うけど(笑)。

 

 

そういえば、手形合わせのシーンでは

半紙に手を捺す本物の佐清と松子母の

わずかなスキンシップだったんだよなぁ。

古館弁護士が「奥さん、もうそのぐらいで…」と

止めるまで長く触れ合ってるというのも名シーン。

 

たしか来月(2026年4月)もNHK BSで映画放送するみたいだし

次のGWに向けて5月1日から角川作品の映画館上映イベントなんかもあって

観れる機会もあるみたい。おすすめ。

『角川映画祭』公式サイト

 

 

ただただ好きなシーン・要素をあげていくだけで、

あんまりオタクっぽくはなかったかな?

今後動画配信なんかの機会あれば

ウォッチパーティ的なのしてみたいね~。

 

 

 

iiokazz